はっぴーすてっぷねっとわーく 一人、二人、三人の想いを一つの形にする

聞き流してしまうような言葉が、ふとした事をきっかけに、新しいビジネスを生み出すことがあります。障がい者の方にイキイキと仕事をしてもらいたい、廃棄物を減らしリサイクルを促進させたい、そんな想いが対話を通じた化学反応で、新たな事業展開へとつながることがあります。

共創のプロセス 1

一つの言葉から自分たちの課題へ

以前から私たちは、雇用等を通じて、障がい者の地位向上や社会参加について自分たちなりにできることに取り組んでいました。そんな中2010年のとある講演会で、宮城県の障がい者雇用率が全国最低レベルであることを知りました。

そのころ当グループ代表が仙台JC副理事長を務めていた関係で仙台JC理事長ともお付き合いがあり、彼がよく口にしていた「社会の隅々にまで光を当てたい」という言葉とも重なり、講演を聞き終えてからもなお「障がい者雇用率全国最低レベル」の言葉が頭から離れませんでした。

障がい者の方々がイキイキと働くための場所を作り出すことができないだろうか?このことをきっかけに、私たちは動き出しました。
 

共創のプロセス 2

対話を繰り返し、課題を共有する

まずは障がい者の現状はどうなっているのか、知人に紹介してもらい、障がい者支援施設の施設長大橋昇さん(仮名)に直接話を聞きに行きました。
「施設利用者の方はどんなことをしているのか」「利用者の方はどんな思いで仕事をしているのか」その時持っていた疑問を全てぶつけました。

話を聞き多くのことが見えてきました。
一度では終わらず、その後何度も大橋施設長と対話を重ねました。熱い思いを語り合い、互いの考えをに徐々に共有していきました。対話が進む中で、施設利用者は、「高度な業務は難しいものの、単純な作業であれば確実に、しかも丁寧に行う事ができる」ことが分かってきました。SKグループではそうした業務に人員を割けずにおり、まさにそれは私たちが求めている業務でもありました。動き出せば新たな変化が生まれる。少しずつ私たちは障がい者の方々との協業に可能性を感じ始めていました。

人材確保の課題を抱える一方で、私たちは飲料・食品のリサイクルのあり方にも別の課題を感じていました。製品メーカーでは、分別コストの関係で飲料や食品が、分別されることなく、容器ごと廃棄されてしまう現実がありました。

障がい者施設とSKグループとの対話の中で、施設利用者が廃棄物の分別をすることで、利用者にやりがいを感じてもらい、そして、飲料や食品のリサイクルにつなげる、という共通の想いを持つようになります。
大橋施設長はもともと利用者のポテンシャルの高さには誇りを持っており、大きな可能性を感じていました。
 

共創のプロセス 3

第三者との出会いがプロジェクトの大きな力に

2013年、障がい者の力を借り飲料・食品リサイクルを促進するプロジェクトを発足させました。まず数社の製造メーカーにリサイクルの提案に行きました。しかし、多くのメーカーで、コストや廃棄される量の問題で折り合いが付きませんでした。その中で、社内のリサイクルについて課題を抱えていた、一つの飲料メーカーに出会いました。その支店長近藤雅樹さん(仮名)は、飲料のリサイクルを進めたい思いと、あらゆる方に雇用の幅を広げたいとの思いを持っていました。近藤支店長に、これまで二人で共有してきた想いを伝え、三人はその後何度も対話を重ねていきました。対話を重ねるうちに、三人はそれぞれの描いていた理想の姿が、少しづつ現実に近づいていく感覚を持つようになっていきました。

その後も対話を重ね、それぞれ頭で描いていた理想の姿はより具体的な形になっていきます。共通の想いをもつ三人の出会いにより、このプロジェクトが動き始めました。

※名刺は、実際の施設利用者の方に作成いただきました

しばらくの準備期間を経て、2014年9月、プロジェクトが本格稼働することになりました。
施設利用者は一生懸命にペットボトルの蓋を開け、中身をドラム缶の中に入れる作業を行いました。この仕事を続けながら、徐々に彼らは、自分たちの力でリサイクルが進んでいる、という自覚を持ち始め、この仕事に誇りを持つようになりました。そこには障がい者がイキイキと働く姿がありました。 
こうして、三人が想い描いていた姿の1つの完成形を見ることができました。

共創のプロセス 4

思わぬ逆風の中でも

しかし2016年、愛知県のとある業者が、廃棄物として回収した賞味期限切れの食品を、正規品として転売する事件が起き、連日マスメディアでも取り上げられ、社会問題となりました。
この事件を機に食品リサイクルに対する社会の風当たりが強まることになりました。私たちは、トレーサビリティやコンプライアンス強化に向けた追加コストが増大し、事業経費でまかなうことが難しくなったため、プロジェクトの一時中断という決断をせざるを得ない状況となりました。 

道半ばという段階で中断を余儀なくされたものの、再開する機会を今も窺っています。今後も私たちは、リサイクル向上と、障がい者がイキイキと働ける環境づくりを提供していきます。想いを共有し、その輪を広げ、地域の中で大きな輪を作り上げたいと考えています。

 

共創のプロセス

  1. 1

    課題意識を持ち、アンテナを張り続ける

  2. 2

    課題を深く掘り下げ、仲間と一緒に解決の糸口を探る。

  3. 3

    お互いのリソースを掛け合わせ、第三者へと想いを広げる

  4. 4

    一度断念しても、再開に向けチャンスを窺う

仲間作りを通して、
新しい価値を生み出す

地域の未来を作るために、
SKグループが実施している取り組みをご紹介します